【HQ】鈍感少女番外編3 (ページ17)

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トスを教えてもらう 1 ページ17

「……ねえ、影山」

部活の休憩時間、みんなが休んでいる中、1人だけトスで壁打ちをしていた影山に、私は声をかけた。

金田一と国見が視界の端でギョッとしているのが見えるけど、今は気にしない。

後で何か言われそうだけど。

でも、頼めるのはもう影山くらいしかいないのだ。

いくら協調性がなくとも、バレーの技術だけは確かなのだから。

「……なんだ？」

少しぶっきらぼうな声が返ってくる。

そうだよね、トス練の邪魔しちゃってるし、あんまりいい気分じゃないよね。

そう思いながらも、この機を逃すわけにはいかないのだ。

私は、意を決して口を開いた。

「お願いがあるんだけど……私にトスを教えてくれない？」

「……は？」

影山が、眉間に皺を寄せて首を傾げる。

こんな怖い首コテンなんて、なかなかないだろうなあと他人事のように考えて、一瞬現実逃避する。

「お前、マネージャーだろ？なんでトスなんか……」

「別にいいじゃん。マネージャーがトスしちゃいけないの？」

「それなら女子の方行ってこいよ」

カーテンで仕切られた向こう側を指さす影山。

そこでは、女子バレー部が今正にスパイク練習をしているところだった。

確かに女子の方も、トス上手いけど……！

あんまり仲良くないんだよなあ……という言い訳は、口にすることは出来なかった。

いやだって、影山はバレー以外のことに興味無いだろうし。