文化祭 8 ページ7
果たして、黄色い悲鳴と共に及川先輩は、うちのクラスに入ってきた。
受付の方にチラッと目を移し、続いて教室内を2度3度見回す。
ああ、やっぱり、若葉さんのことを探しているんだ。
少しだけ羨ましいなんて気持ちが出てきてしまう。
普段ならこちらから見つけて声をかけるような存在の人に、探して声をかけてもらえるのだから。
若葉さんの姿が見つからなかったからか、及川先輩は真っ直ぐと受付の方へと向かった。
間違いなく、聞かれる。
ちゃんと震えないように話さなきゃ……。
及川先輩が近づいてくるたびに、心臓が激しく鼓動した。
「ねえ、君。ちょっと聞きたいんだけど、ここに若葉Aちゃんっている？この時間、ここにいるはずなんだけど」
ほら、やっぱり。
一瞬、隠れているだけと伝えた方がいいのかなと思ったけど、それで損をするのは多分私だ。
「いえ、この時間はここにいませんけど……」
「あれー？おっかしいな〜。時間は間違えてないはずなんだけどな〜」
困ったように独り言を口にする及川先輩。
でも、その様子だと若葉さんと喧嘩中には見えなかった。
普通に仲良しの友達のところに行こうとして、シフトを間違えた時と同じノリだ。
それとも、及川先輩は喧嘩中とか気にしないタイプなのかな？
私はあまり、及川先輩がどういう人なのか知らないから分からないけど。
「ん〜、じゃあその子が何時に入るのか知ってる？」
及川先輩の問いに、私は首を横に振った。
テキトーな時間を言ってしまうと、その時間に来た時に嘘がバレてしまうからだ。
「そっか〜」と及川先輩は残念そうに答えると、「ありがとう」と語尾に星がつきそうなお礼を私にして教室を出ていった。
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昨日、休載なのに間違えて更新してしまったので、明日の更新はお休みします。すみません。
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