【HQ】鈍感少女番外編2 (ページ6)

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文化祭 7 ページ6

私の疑問を聞いた若葉さんは、困ったように笑った。

なんて言えばいいのか分からないのか、言葉を探しているみたい。

でも、若葉さんが噂通りの人なら、もっと及川先輩と幼馴染であることを周りにひけらかしていそうなのに、実際は思ったよりずっと若葉さんは大人しかった。

所詮は噂だと片付けられはするけど、どこをどう間違えたら、そんな正反対の噂が出回るんだろう？

1人が言うならまだしも、ここまで噂が広まっておいて誰も本当のことを知らないなんて不思議だった。

若葉さんの次の言葉を待っていると、突然廊下から黄色い悲鳴が聞こえてきた。

ああきっと、及川先輩がこの階に来たんだろうなとすぐに想像は出来た。

でも、目の前にいる若葉さんは少し気まずそうな顔をしていた。

及川先輩と喧嘩でもしたのかな？

それなら今、会いたくない気持ちとそれを誰かに言いたくない気持ちは分かる。

……それだと信じるしかないのかな？

「とにかく、お願いします！」

若葉さんはそう言うと、私の返事を待たずに奥に引っ込んでしまった。

その間にも、どんどん黄色い悲鳴は近づいてくる。

もしこの教室に来たら……いや、絶対に来る。

幼馴染の若葉さんがいるんだし、この時間にこの階にいるということは、若葉さんのシフト時間を知っているはず。

でも、これはある意味チャンスだと思った。

だって、及川先輩と接点のない私は、これを逃したらもう二度と先輩とは話せないだろうから。