若葉バースデー 1 ページ30
岩泉side
部活がオフの日の放課後。
俺の席の向かい側に及川が座り、沈黙が続く。
及川は俺のペンケースを勝手に開けて、ペン回しまでしている。
もう少し真面目に考えてくれ……。
1週間後、Aの誕生日がある。
そのための準備を俺と及川ですることになったのだが、問題はプレゼント云々じゃない。
Aの誕生日に対する意識の低さ。
興味ないのかと聞きたくなるほど、Aは自分の誕生日について無感情だった。
及川が「今日は何の日？」と尋ねた時でさえ、「ゴミの日？」というありがちな回答を真顔で言ったのだ。
まあそりゃ、家庭環境があんなんじゃな……。
同情しないわけでもないが、いつまでもそこに留まってもらってちゃ困る。
誕生日はもっと欲張っていい。
自分が生まれたことを誇っていい。
そう言いたいのに、Aの顔を見ると言えなくなってしまうのだ。
多分、アイツはまだ、その考えを素直に受け入れることが出来ない。
気持ちの問題であることは分かってる。
だからこそ、無理強いは出来なかった。
誕生日がどういうものなのかというよりも、Aが喜べることが最優先だ。
だからこうして、及川と机を前にして頭をひねっているわけだが、いつもは頭のキレるこいつが、今日に限って何も言わない。
案が出ないのは俺も同じだが、こいつはつまらなそうに俺のペンで遊んでいやがる。
真面目に考えているのか、こいつ？
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
若葉ちゃんの誕生日ですが、5月1日となります。だいぶ過ぎてますね、すみません。
由来は、及川さんが7月20日生まれで、岩ちゃんが6月10日生まれなので、月は1個下げて日は10個下げると0になっちゃうので1でいいや〜となりました。
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