文化祭 30 ページ29
いよいよ始まった後夜祭。
男子バレー部がみんなの前で踊る時間が来た。
徹のファンによる黄色い歓声、それ以外の人たちは、ほとんどが大爆笑していた。
まあ、女装していたらそうなるよね。
曲が流れて、みんなが踊り始める。
女の子らしい振り付けだからか、笑い声はいつまでもおさまらない。
しかも、徹がファンサ始めちゃったから、余計に観客側は騒がしくなった。
でも、みんなが盛り上がってくれているなら、それはそれでいいと思った。
1曲約3分という短い出番は、あっという間に終わってしまった。
踊り終えたみんなのところへと真っ先に向かう。
徹や花巻さんはノリノリだけど、国見は二度とやりたくないって顔に書いてあるし、金田一は未だにスカートを履いていることを恥ずかしがっている。
終わったあとの反応は様々だけど、悔いが残るようなことにはならなくて本当に良かった。
1人ひとりに労いの言葉をかけようかと思っていた時、小さな声で「せーの」と聞こえた。
「お疲れ様、マネージャー！」
全員が声を合わせて言う。
まさか、そんなことを言われるとは思っていなくて、考えていた労いの言葉なんてどこかに行ってしまった。
「こんなにスムーズに踊れたのも、若葉の指導あってこそだな」
「俺たちだけじゃ、1年くらいはかかってたんじゃねえか？」
「教え方も分かりやすかったですし」
口々に飛び出す言葉は、みんな私を褒めるもので少しくすぐったい。
私はただ、みんなの前に立つならしっかり練習しないと、って思っただけ。
当然のことだと思っていたけど、みんながそれを私の頑張りだと認めてくれたことがとても嬉しかった。
だから、私もみんなにちゃんと言わなきゃ。
「皆さんも、お疲れ様でした！」
来年はまた違ったメンバーになっているけど、今日のような素敵な1日にしたいな。
みんながずっと笑っていられるように。
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「鈍感少女」シリーズ1作品目、「鈍感少女」と「鈍感少女vs嘘つき少女」の加筆修正ver.をpixivに投稿しました！ぜひ、そちらもよろしくお願いします。
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