【HQ】鈍感少女 vs ぶりっ子少女

88. 睨まれる ページ10

及「はーい、片付け！」


徹の軽い声に、部員たちは汗を拭きながら片付け始める。

私も、部員からボトルを回収する。

そんな中、目立つ奴が1人……。


遥「へぇ、そぅなんだぁ。
金田一君てぇ、すごいねぇ！」


私の目の前には、金田一にしつこく話しかける螺咲さんが。

やめて、純粋な金田一を汚さないで←

そんな思いを込めて睨めば、隣の金田一と目が合った。

目でなんとかして！と訴えてくる金田一。

本当は関わりたくないけど、螺咲さんのせいで金田一まで片付けやってないって周りに思われたら大変だから、しょうがない。


貴「螺咲さん、ボトルの洗い方教えるから、ちょっと来てもらっていい？」


割と近くで言ったのに、螺咲さんはこちらを向きもしない。

え、この距離で聞こえないとかあるの？


貴「つーみーさーきーさーん？」


今度はもう少しデカい声で言う。

それでも、螺咲さんはこちらを見ない。

え、待って。

この距離のこの声の大きさで聞こえないって、ヤバくない？耳鼻科行った方がいいって！

金田一も、だんだん顔が引きつって来ている。

元々優しい彼だけど、やりすぎはマジで怒るからね。結構ズバッと言うし。


岩「おい」


ほら、ハジメ来ちゃったよ！頼むから、金田一だけは怒んないでやって！


岩「金田一、ちょっとこっち来い。
螺咲は、あー、Aにいろいろ教わってくれ」

金「はい！」

遥「……はぁぃ」


良かった。流石、ハジメ。見てたのかな？

小さい声で、

岩「すまねぇな、大丈夫か？」

金「いえ、ありがとうございます、助かりました」

って言ってるの聞こえたし。

まあ問題はこっちなんだけどね。

こっちを睨みながらついてくる螺咲さん。

いやだから私、何もしてないって！

もう、睨まれるの毎日とか嫌なんだけど。


貴「じゃあ、ボトルの洗い方説明するね。まず、こうやっt」

遥「あぁ、遥歌パスぅ。
水仕事なんてぇ、手が荒れちゃうでしょぉ？
遥歌、ちゃぁんと影山君に会って告白するまでぇ、綺麗でいなくちゃいけないのぉ。
だからぁ、汚れるような仕事はぁ、アンタがやってねぇ」


あー、すっごい意味伝わりにくい文章だなー。

てか、アイツに会うまで綺麗でいなくちゃって。じゃあ、今度の烏野との練習試合終わったら、ちゃんと仕事するってことかな？

ならいいんだけどさ。

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