渡バースデー 6 ページ43
私の考えたゲームはこうだ。
まず、コートの半面に渡さんを置いて、残りの人たちは反対のコートにいく。
実質、1対6のバレー対決みたいな感じ。
ただ、いつものバレーと違うのは、6人側は渡さんを狙って攻撃しなくてはいけないこと。
渡さんを狙ってスパイクを打って、拾うことが出来たら渡さんに1ポイント。
拾えず、ボールが床に落ちたら6人側が1ポイントというルール。
渡さんは拾った時にそのまま相手コートにボールを返さなくてはならない。
だから、正確には拾って相手側にボールを繋いで初めて渡さんに1ポイントが入る。
まあ、そのままボールがコート内に落ちたら、それも渡さんのポイントになるんだけど。
ちなみに、渡さんが明らかに取れないボールを打ったら、6人側はマイナス1ポイント。
その取れるか取れないかを見極めるのは難しいから、審判は必然的に私になった。
ルールを一通り説明すると、体育館の中は微妙な空気になった。
あれ、面白くなかったかな……?
「これ、本日の主役が1番大変じゃない?」
国見が私の肩を叩いて指摘する。
うっ……確かに。
やっぱり、渡さんには荷が重いかな?
これなら、いい練習になると思ったんだけど……。
「いや、やってみよう。せっかく考えてくれたんだし、面白そうだよ」
渡さあああああん!
快諾してくれた渡さんは、本当にバレー部の誰よりも優しいよ。
主役がいいなら、ということで私の考えたゲームは採用されることになったのだった。
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