渡バースデー 4 ページ41
「渡っち、誕生日おめでとうー!」
いよいよ、渡さんの誕生日会当日になった。
その日は土曜日で、朝いつもより少しだけ早く来て準備をした。
金田一にクラッカーを渡されて、渡さんが入ってきたら紐を引っ張るように言われたんだ。
だから、渡さんが部室に入ってきた時に、徹の「おめでとう」と同時に紐を引っ張った。
他のみんなも同じようにしていたから、変に自分だけ浮くことはなかったけど、大きい音が鳴るってことを私は知らなかった。
パン!という音が鳴った瞬間、私は心臓が跳ねて思わずクラッカーから手を離してしまった。
数歩後ずさりしてから、脳内処理が追いついてくる。
「大丈夫か、若葉?」
金田一が気づいて、床に落ちたクラッカーを拾ってくれた。
紐を引っ張った時の振動といい、大きい音といい、若干トラウマになりそうだ。
「初めてのおつかいならぬ、初めてのお祝いじゃん」
「国見、上手いこと言わないの!」
確かに、間違いではないけども!
いたずらっ子のように笑いながら言う国見は、今日はなんだかイキイキしているように見えた。
いや、単純に私の事からかっているからってだけかも。
そのイキイキをバレーでも活かして欲しいんだけどさ。
まあでも、今日の練習はいつもと少しだけ違うから、国見の反応はちょっと楽しみだな。
ゾロゾロとみんなが片付けて体育館へと移動し始める中、私は1人ほくそ笑んでいた。
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