【HQ】鈍感少女番外編1 (ページ5)

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松川＆矢巾バースデー 3 ページ5

「ちょっといいか、若葉」

どうして……どうしてなの……？

目の前には、遠慮がちに声をかける渡さん。

あれから、取り敢えず考えときますとかテキトーなことを言って花巻さんと別れたんだけど、すぐに渡さんに捕まった。

「もうすぐ、矢巾が誕生日なんだけどさ……」

デジャブ過ぎる会話。

松川さんと矢巾さん、誕生日近かったんだ。

バレー部は部員がたくさんいるから、いちいち人の誕生日なんて覚えられない。

私が覚えているのは、徹、ハジメ、金田一、国見くらいだ。

RINEを見れば、多分もう少し分かると思うんだけど、メモしないと忘れそう。

ああ、違う。そうじゃなくて……。

矢巾さんがなんだっけ……？

「矢巾の好物、いくら丼だからさ……店探す時間もないし、奢るにしても高いんだよね」

バレー部の皆さんは、誕生日にその人の好物をあげるのがルールだったりするの？

チーズハンバーグといい、いくら丼といい、絶対学校に持ってこられないやつじゃん。

でも、チーズハンバーグはファミレス行けばなんとかなるけど、いくら丼は確かに高い。

1回、ハジメの家族と一緒に回転寿司に行ったことがあるんだけど、他のお寿司よりもいくらが高くてびっくりした。

スーパーのお寿司売り場だと、あまり高いイメージがなかったから。

バイトも出来ない男子高校生にとっては、確かに人に奢る値段じゃないよね。

うーん、どうしたものか……。