【HQ】鈍感少女番外編1 (ページ36)

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エイプリルフール 4 ページ36

俺は取り敢えず、隣で鼻歌を歌っているこのバカを殴りたくなった。

お前、Aに変な嘘ついてんじゃねえよ。

「あー、A。ちょっと電話切らずにそのままにしてろよ」

それだけ言うと、俺はミュートにして隣のバカに頭突きを食らわせた。

「え、何！急に、何！俺なんかした？」

俺の頭突きを肩にまともに食らった及川は、驚いて突っ立っていた。

その声に、部室にいた部員全員が俺たちに注目する。

俺は、何が起きたか分かっていないであろう及川に、自分のスマホの画面を見せた。

「あー、Aちゃんからか。俺の方にも不在着信がいっぱい来てたけど、結局なんの用事だったの？」

呑気にそんなことを言う及川にムカつきながらも、俺はミュートをONにして、スマホを及川に差し出す。

「え、何？」

「取り敢えず、自分は無事だってAに言ってやれ。話はそれからだ」

まだ理解しきれていない及川は、オズオズとスマホを受け取り、「もしもーし、Aちゃん？」と話し始めた。

「うん、うんうん……え？」

いつも通り会話し始めたかと思いきや、及川の顔が急に強ばる。

それでやっと、全てを察したらしい。

俺の方に向いた顔が、やばいと言いたげだ。

「えーっと、Aちゃん？今日がエイプリルフールって知ってる？え、知らない？」

どんどん小さくなる及川の声に、俺は自業自得だと思った。

エイプリルフールなんて、俺はAに教えてないからな。

責任取ってちゃんと説明しろよ、及川。