エイプリルフール 3 ページ35
事の始まりは、昼休憩だった。
学校に着いてすぐ、及川には1発決め、その後はすぐに練習。
当然、スマホはあれから開くこともなく、俺の鞄の中で眠っていた。
「あれ、なんかAちゃんからめちゃくちゃ通知来てるんだけど」
昼食がてらRINEを開いた及川がそう呟き、何かあったのかと俺もスマホを手に取った。
RINEを開けば、俺も及川と同じく、大量にAから通知が来ていた。
なんなら、その下には親からまで来ていた。
喘息の発作でも起きたのかと思ってトークを開けば、そこには不在着信が何件も入っている。
嫌な予感がして、俺はAに電話をかけた。
コール音がやみ、電話はすぐに繋がった。
『ハジメ!良かった、やっと繋がった!』
聞こえてきたAの声は元気そうで、俺はひとまずホッとした。
具合が悪いわけじゃなかったのか?
『ねえ、ハジメ聞いた?徹が事故に遭っちゃったって!怪我しちゃったみたいなの!バレーがしばらく出来なくなっちゃうかもしれないって』
泣きそうなその声を聞いた途端、一瞬思考が停止した。
及川が事故って……まさかこいつ、Aにも同じ嘘をついたのか?
Aはそれで心配して、電話をかけてきたってことか。
ということは、その下の親からの通知も全部それ関係と……。
1つの嘘が、とんでもない誤解を起こしていることに、この時俺はようやく気づいたのだった。
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