エイプリルフール 2 ページ34
『ああ、でも、岩泉は引っかかってそうだよな』
『既読ついてるってことは見てんじゃね?及川、終了のお知らせー』
突然出た自分の名前に、ちょっとだけ驚く。
そうか。既読つけたまま、俺は何も返してねえ。
まあでも、嘘だってことはもう分かっちまったしな。
『え、岩ちゃん引っかかった?引っかかった?』
俺が後で殴るかもしれないと分かっていながら、及川は煽るような文を送ってくる。
こいつ、学校着いたらマジでぶん殴るか……。
『なんなら、今日エイプリルフールって知らなそうじゃね?』
『どちらにしろバレてるから、及川の作戦は失敗してんだけどなー』
花巻の文で初めて今日が、エイプリルフールだったということに気づいた。
マジで図星だった……。
知ってはいたが、そんなくだらねえことをするつもりもなく、普通に忘れていた。
俺には必要のない行事だ。
『え、そうだったの?今知って良かったじゃん。今日1日、及川さんのおかげで嘘に騙されないで済むよ』
自分から嘘をついたくせに、何をコイツは威張ってんだ……?
そばにいないにも関わらず、殴りたくなってくる。
実際、いたら多分殴ってた。
『うるせえ』
それだけ返して、俺はRINEを閉じた。
朝飯の匂いが、リビングの方からしてくる。
俺はスマホを鞄の中にしまい、急いでリビングへと向かった。
この後に起きることなど想像もせずに。
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