【HQ】鈍感少女番外編1 (ページ33)

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エイプリルフール 1 ページ33

岩泉side

肌寒い3月が終わり、今日から4月という日の朝。

春休みだからといって、練習に休みはない。

日曜でも関係なく、俺は部活の練習着に着替えた。

すると、机の上に置いてあるスマホが僅かに振動する。

この時間に連絡をしてくるのは、バレー部の奴らしかいない。

そう思ってRINEを開けば、案の定、及川、花巻、松川とのグループに通知が入っていた。

そして、このウザいキメ顔の自撮りアイコンは、間違いなく及川である。

『ごめん、昨日事故に遭っちゃって……。しばらく部活休むかも……』

……は？

事故って、交通事故か？

いつだ？帰りは一緒だったのに。

詳しい事情を聞こうとキーボードを開くと、続けざまにスマホが振動して吹き出しが増えていく。

『はい、嘘ー。そんなありがちな嘘があるかよ』

『及川って嘘つくの下手なのな』

嘘……？

なんでこんな嘘つくんだ？

普段、ムカつくことしか言わないようなやつだが、こんな脈絡もなく急に嘘つくとか、何の影響受けたんだコイツ？

『ちぇっ、つまんないのー。もうちょっとのってくれてもよくない？』

『だーかーらー、嘘が古典的すぎんだよ。もうちょい信憑性のありそうな嘘つけよ』

『交通事故とか、マジでヤバかったらお前から直接連絡来るわけないだろ』

花巻も松川も、その嘘を当たり前のように受け止めている。

なんで急に嘘なんかつき始めたのか、とは誰も聞かなかった。