もしも青城がアイドルだったら 5 ページ22
「そういや、その矢巾の件なんだけどよ。俺、手紙預かってんだわ」
「え、岩泉なんで？」
「どういうルートでそうなった？」
突然ポケットから紙を出し、ヒラヒラさせた岩泉に、花巻と松川は驚きの声を隠せない。
「いや、なんか手紙が入ってた。ロッカーに」
「作者は変態なのか……？男子更衣室入ったってことだよな？」
「今度餌付けでもしてみるか？」
「はいはい、いいから手紙、手紙」
話が脱線しかけた途端、及川が手を叩いてそれを戻す。
普段なら関係ないと、話が脱線しても無視しているのに、自分が関わるとこれである。
「手紙なー、『矢巾を入れなかったのは、大人の事情というやつです。でも、矢巾の方が様になりそうなのでメンバーチェンジでお願いします』だとよ」
岩泉が手紙を読み終えるや否や、金田一は複雑そうな顔をし、矢巾はガッツポーズを取っていた。
「大人の事情って、どうせキャラ動かしにくいとかそういうことじゃないんですか？」
淡々と言う国見に、横で及川も頷いた。
それを見た矢巾が、再びショックを受ける。
「俺……そんなに動かしづらいか？」
「それかネタ要員にされてるんですかね？矢巾さん、本編だとそれなりに出てますもんね」
「確かに」とみんなが頷いたところで、トントンと部室のドアを誰かが叩いた。
「皆さん、そろそろ午後の部活始まりますよー！あと、渡さんがドアの前で体育座りして落ち込んでるんですけど、何したんですかー？」
マネージャーのAの声が、ドア越しに聞こえる。
その声は、どこか怒気を含んでいるようにも聞こえた。
「あ、もうそんな時間か……って渡っち？」
「あー、圏外だったしチームにも入ってなかったもんなー」
「今日はみんなでなんか渡に奢ってやろうぜ」
松川の言葉に「そうしよう、そうしよう」と賛同の声が募っていく。
マネージャーの声にドアを開けたバレー部は、今日も練習へと足を動かすのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
