【HQ】鈍感少女番外編1 (ページ17)

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松川＆矢巾バースデー 15 ページ17

「はい、じゃあ今日の主役から一言どうぞー」

花巻さんが、月刊バリボーを丸めてマイクの代わりにしている。

あれ、誰のなんだろう？って思ったけど、よくよく表紙を見たら、徹の取材が載った時のやつじゃない？

あーあ、徹が知ったらまた口を尖らせそうだな。

「いや……まさか、卒業式の前日に祝ってもらうとは思わなかったわ。でも、この3年間で1番盛大に祝ってもらえて嬉しいよ。本当にありがとう」

「俺もちょっと羨ましいわー。ってことで、ハイ次矢巾ー」

花巻さんが口を挟みつつ、矢巾さんに振る。

まあ、今回はいつもより盛大だけど、逆に言えば合同誕生日会だからなあ。

「俺は、なんか松川さんのおこぼれみたいで少し申し訳なくも思うんですけど、こんなに祝ってもらって嬉しいです。ありがとうございます」

苦笑しつつ、矢巾さんもお礼を言ってくれた。

明日は、矢巾さんは私たちと祝う側だもんね。

明日祝う方と祝われる方、両方いるから余計に祝い方が難しかったのもあるかもしれない。

でも、これで少しは私も、誰かを祝う経験が増えてきたかな。

誰かを祝うのも祝われるのも、どちらも嬉しくて企画している時から楽しい。

先輩たちが卒業しても、またこうやってみんなで誰かを祝う企画を立てたいなあ。

こうして、3月1日組の誕生日会は無事に幕を閉じた。

好物をプレゼントにしなくて本当に良かったと思う。

次の日、今度は祝う側にいた3年生たちが荒ぶるのは、また別の話。