【HQ】鈍感少女 Answer 2

1160. 今度は私が助ける ページ27

『本当に……可哀想な子だね』


小さい頃、口癖のようにお母さんは言っていた。

でも、どうしてそんなことを言われるのか、幼い私には分からなかった。

可哀想なのはお母さんだよ。

私のせいで、お父さんに怒られてばかりで。

それなのに、そんな自分のことよりも私の心配をしてくれるなんて。

その時は、お母さんは優しい人だと信じて疑わなかったんだ。

でも、


『生まなければ良かった』


この一言で全てが変わった。

お母さんは、私のことを心配してくれたわけじゃない。

ただ、同情していただけ。

誰にも愛されない可哀想な子どもを、まるで慈善活動のように育てていただけだった。

それで愉悦に浸っていた。

あの日、お母さんの電話を盗み聞きしてしまった私が聞いた言葉は、耳を疑うようなものばかりだった。


『私はちゃんと育てているのに』

『手がかかる子どもと怒ってばかりの夫なんて、もううんざり』

『本当は子どもなんて欲しくなかったのに』

『誰も私を助けてくれない』

『あの時、生まなければ良かった』


泣きながら誰かに愚痴るお母さんの声を聞いても、私は涙すら出なかった。

なんとなく、分かっていた。

小学生にでもなれば、子離れする時間も増える。

私がお母さんに愛されたくても、お母さんはどこか素っ気なかった。

その理由が、今ここで繋がった。

もういいよ、お母さん……。

今まで育ててくれたお礼に、私がお母さんを助けるね。

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