77. ドンピシャ ページ30
及川side
あのあと__
優木ちゃんが体育館から出て、国見ちゃんがAちゃんを保健室に連れていった後の体育館は、雰囲気からして最悪だった。
マネージャーもいない、中途半端な時間の中で、今更まともな練習が出来るとも思えない。
現に、部員も皆暗い顔持ちで、ここから明るく部活再開なんてしても、ちゃんと充実した練習になるのか分からない。
でも、IH予選は着々と近づいてきているわけで、今年こそウシワカを倒したい俺は、練習を終わりにするか否か、心底迷っていた。
その時だった。
岩「及川、トス上げてくれ。少し打ちたい」
及「え、あ……うん」
さっきから眉間のシワが取れない岩ちゃんにそう言われ、俺は咄嗟に頷いてしまった。
他の皆は、黙って岩ちゃんの様子を見ている。
岩ちゃんが、ボールを高く上げた。
俺は、その落下地点の真下に立つ。
俺が上げたトスは、岩ちゃんの右手を振り下ろす位置に届いて__
ドンピシャ
そして、いつもより少し荒々しくボールが床にぶつかる音が、体育館中に響き渡った。
誰も、何も言わない。2軍の部員までもが、岩ちゃんのスパイクに目を奪われていた。
岩「……もう1本」
ネットをくぐってボールを取りに行き、また俺にボールを高く投げる岩ちゃん。
それが3回終わった時だった。
松「おい、岩泉」
やっと口を開いたのは、松つん。
……と思ったら、
松「お前だけストレス発散はズルいだろ」
花「そうだ、俺にも打たせろ」
松「いーや、俺が先だ」
ニヤリといたずらっ子のような笑みを浮かべ、ボール籠へと走る2人。
その2人に感化されたのだろう。
その後ろへと続く、矢巾、金田一。
渡「俺だって。スパイク取りますよ」
そう言って、コートの反対側に行く渡っち。
いつの間にか、あれだけ言うことを戸惑っていたはずなのに、練習再開していた。
金「俺も打ちます!」
矢「俺もです!」
松「矢巾はトス練しような?」
矢「1回くらい、いいじゃないですか!」
花「岩泉、及川独り占めすんなよ!」
岩「あ?誰がこんな奴独り占めするかよ、くれてやるっつーの!」
及「岩ちゃん、辛辣!!」
良かった。
流石だよ、お前ら。
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uefHYEIGisXCsvG(プロフ) - 優木さんの気持ち、よく分かる。世の中ってすごく不公平だよね。私は優木さんにちょっと感情移入しちゃうとこあるな〜 (2020年12月18日 16時) (レス) id: 4cefab5fa3 (このIDを非表示/違反報告)
朱夏(プロフ) - 77話神です!好きです!頑張ってください!(o^^o) (2018年9月19日 0時) (レス) id: ba5d47934d (このIDを非表示/違反報告)
(名前)あやな(プロフ) - これヤバイね。( ̄▽ ̄;)優木ちゃんドンマイ(´▽σ`)σ♪ (2018年9月14日 5時) (レス) id: 94765e7d31 (このIDを非表示/違反報告)
*マル* - 修羅場で優木先輩やっちゃった(^O^) おわたー (2018年9月14日 3時) (レス) id: 30b0dac975 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - 修羅場!!若葉ちゃんがんばれー!! (2018年9月12日 19時) (レス) id: fb58e16ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれは* | 作成日時:2018年8月25日 16時