894. 雪辱を果たすため ページ41
ミーティングが終わったあと、監督の奢りでラーメン屋に連れてきてもらった。
皆、黙々と食べていた。
金田一を見ると、松川さんとハジメの前で大泣きしていた。
国見と京谷さんは帰ったらしい。
白鳥沢に負けた時と違って、皆の顔は悔しさと終わってしまった虚無感を帯びていた。
ラーメン屋の前で解散する。
私は、本当なら徹とハジメと帰るはずだけど、きっと積もる話もあるだろうから、3年生の方には行かなかった。
金「良かったのか、若葉？」
3年生たちが歩く背中を見て、金田一が尋ねた。
一緒に帰らなくて良かったのか、という意味だろう。
私は、小さく頷いた。
貴「私が2人といたのは、1年だけだから……それに、帰ってきてからでも労いの言葉はかけられるからね」
金「それもそうだな」
私たちは、3年生に背中を向けた。
多分、3年生たちはあのまま帰らない。
きっとどこかに寄って泣きながら別れそうな気がする。
そう思ったら、余計についていけなかった。
私は、来年も再来年もある。
先輩たちが果たせなかった雪辱を果たすため、これからも頑張らないと。
貴「金田一も、今日はお疲れ様。試合、カッコよかったよ」
金「ありがとな……後悔もたくさんあるけど」
そう力なく笑った金田一。
1年生でありながらレギュラーに選ばれた、そのプレッシャーは私には分からない。
そして、勝てなかった時の後悔も。
それでも、誰も金田一を責める人はいないし、功労者として見るだろう。
貴「何言ってんの、金田一はこれからでしょ！」
バン、と金田一の背中を叩き、私は金田一を励ました。
金田一は驚いたように目を見開いてから、「そうだな」とニッコリ笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にろちゃん - 牛島さんの口調はだいたいあってると思います！とても面白かったです！ (6月25日 22時) (
レス) @page28 id: 6a8e0333e2 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ - はじめまして！とても面白くて一気に読み進めちゃいました！これからも応援しています！！ (2020年12月2日 22時) (レス) id: 29faa5c20f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
