883. 目の前にいること ページ30
貴方side
しばらく歩いていると、だんだん人が増えてきた。
人気のあるところに戻ってこれたんだと思うと、少しだけホッとした。
あとは、皆のところに戻って、蓮耶匁君のことを報告しないと。
でも、ここが会場のどの位置にあるのか分からない。
蓮耶匁君についてきただけだから、脳内の地図はとっくにバグっていた。
誰かに聞くしかないかと、辺りをキョロキョロしている時だった。
「若葉！」
聞き覚えのある声に、私は振り向いた。
さっきまで見ていた黒いジャージ。
そして、中学の時から知っている顔。
影山が、こちらに向かって走ってきていた。
貴「かげ……やま……」
影「お前、どこいってたんだ？及川さんと岩泉さんが心配して……」
両肩を掴まれて少し怒ったように言う影山だったけど、そこはどうでもよかった。
知っている人が目の前にいることに何よりも安心して、私は影山に身体を預けるようにズルズルと力を抜いていった。
影「おい、大丈夫か？」
倒れたと勘違いされたのかもしれない。
でも、私にはさっき起きたことを説明する余裕はなかった。
貴「良かった……」
それだけ呟き、私は影山の存在を確かめるようにジャージの袖をギュッと握った。
途端に、今まで抑えていた恐怖がドッと押し寄せてきて、目が涙で滲む。
視界がくもりガラスのように歪んできたとき、よく聞く大きい声が耳に飛び込んだ。
「A！」
「Aちゃん！」
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にろちゃん - 牛島さんの口調はだいたいあってると思います！とても面白かったです！ (6月25日 22時) (
レス) @page28 id: 6a8e0333e2 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ - はじめまして！とても面白くて一気に読み進めちゃいました！これからも応援しています！！ (2020年12月2日 22時) (レス) id: 29faa5c20f (このIDを非表示/違反報告)
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