824. 実力を分かっている ページ19
「前の試合、白鳥沢があと5点です」
皆がアップをしていると、前の試合を見ていた報告係の2軍の先輩が、知らせにやってくる。
チラッと伊達工業高校の方を見れば、同じように報告を貰っているところだった。
岩「行くか」
ハジメの一言に皆返事をして上着を羽織る。
いよいよ、今日初めての試合……。
IH予選で、伊達工業高校は烏野と戦って敗北している。
でも、強豪校であることに変わりはないから、気を緩ませることなど許されない。
「烏野と和久谷南は長引きそうです」
別の高校の報告係が、そう言っているのが耳に入った。
烏野だって、今やそう簡単に負けるようなチームじゃない。
澤村さんの分まで粘り強く戦っているのかもしれない。
花「主将がいなくなった烏野は、どうなっているんかね」
ボソッと呟いた花巻さんに、徹は少し上を向きながら口を開いた。
及「目立つスーパーレシーブだけが、良いレシーブとは限らないからね。今まで当然のように上がっていたボールが上がらなくなるとすれば、そういうのはジワジワときいてくる。それを実感している頃じゃない?」
随分他人事な言い方だと思ったけど、徹の顔は笑っていない。
徹は、もうIH予選の時のような軽い口調を、烏野に向けることはなくなった。
たまに冗談で言う時もあるし、もしこの後烏野と試合をすることになれば、チームの指揮のために明るく努めるんだろうけど。
徹はちゃんと烏野の実力を分かってるから、きっとそんな顔をしているんだろうな。
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