【HQ】鈍感少女 vs モブイン少女

732. 違和感のある答え ページ22

瑜伽side


更衣室のドア前から、若葉Aと及川徹の声をこっそり聞いていた。

及川徹が、若葉Aに声をかけているところをたまたま見かけたのだ。

もしかしたら、私のことについて何か言うかもしれない。

そうなると、これは証拠を掴むチャンスかもしれない。

ヒロインは、部員の前では良い子でいる。

あわよくば、新しく入ってきた子のありもしない話をして自分は可哀想な子だと演じる。

まるで、新しく入ってきた子が悪い子であるかのように言うのだ。

そしてなぜだか知らないけど、そういう時だけ演技力がめちゃくちゃ高い。

もうマネージャー辞めて、女優目指すべきだと思うほどに。

私は、ジャージのポケットからスマホを取り出して、録音アプリをタップした。

どこかで使えるかもしれないし、証拠になればすぐに片がつく。

そう構えていた時だった。


及「新しいマネージャー希望の子とどうかな、と思って。上手くやれてる？」


よし、きた。

ここからの若葉Aの返答が大事。

いったい、なんて答えるんだろう？


貴「うん、良い子だよ。特に嫌がらせもしてこないし」


……あれ？何もない？

確かに嫌がらせはしてないし、正当な答えではあるけど。

ヒロインの答えにしては、違和感のある答え方。

今まで辞めた子の日数を考えたら、そろそろ動き出してもいいはず。

それとも、まだ機会を伺ってる段階？

いや、それでも仮入部期間に辞めさせなければ、マネージャーとして定着してしまう。

そうなれば、よっぽどのことがない限り、辞めさせることは出来ない。

そろそろ来てもいいはずなのに、なぜ……？

これは、もう少し調査が必要ね。

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