【HQ】鈍感少女 vs 元気少女

545. よそ見の理由 ページ6

及川side


最終日のレクリエーション、ドッジボール大会。

飛雄と同じチームなんて嫌だったけど、3回もクジ引いて文句なんて言えない。

仕方なく、そのままBチームと戦ったけど、俺は岩ちゃんといつもの言い合いになって、早々に外野に行くことになってしまった。

でも、その後といったらめちゃくちゃ暇。

Aチームは、滅多に外野にボールが回ってこないし、ずっとBチームの優勢。

俺の出番なしで負けそうだな……。

ボーッと試合を見ていると、ちょうど体育館のステージに座って観戦しているCチームとDチームの中からAちゃんが見えた。

Aちゃんを見ると、もっと主将としてしっかりしなきゃって思う。

別に不甲斐ないとか、そんなマイナスな気持ちになってるわけじゃない。

でも、Aちゃんを見ていると危なっかしい。

本当に、将来詐欺とかすぐに引っかかりそうだよ、あの子。

岩ちゃんとも上手く仲直り出来たみたいで、昨日の午後からはAちゃんにも笑顔が戻っていた。

あの笑顔を見る度に、ずっと笑顔でいて欲しいって思う。

だからこそ、宮城に帰ったらいろいろやることをやらなきゃ。

Aちゃんの病院は、岩ちゃんが連れてくって行ってたし、そこは俺が出るところじゃない。

あとは、部活や学校生活の問題。

もうマネージャーは募集しない。

監督にも話は通してあるし、夏休み明けに正式に募集は終わりにすることになった。

これでもう、Aちゃんを傷つける人はいないはず。

主将である今のうちに、部活の今後のことも考えていかなきゃだな。

そう思った矢先のことだった。

背中に当たる丸い何か。聞こえる人の声。

そうだ、今ドッジボールの最中じゃん……。

546. 淡々と終わる→←544. 擁護出来ない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す