【HQ】鈍感少女 vs 仮病少女 2

469. 信じてるが故に ページ22

岩「及川……悪い」


聞こえたのは、岩泉さんの謝罪の言葉だった。

しかも、及川さんに対しての。


及「岩ちゃんまで！どうしたの？」

岩「俺、知ってた。Aが他の人よりも仕事してること」

及「え……」

黒「はい？」


岩泉さんの言葉に、その場にいた皆が驚いた。

俺も声こそ上げなかったものの、心底驚いていた。

若葉さんのことを誰よりも考えているはずの岩泉さんがそんな大事なことを黙っていたことも驚きだったけど、それよりも俺と同じことをしていたことだ。

もしかして、岩泉さん……。


岩「実際に見たんだよ。梟谷のマネージャーが、保健室のベッドの上で、誰かと笑いながら通話してた」


そう言う岩泉さんは肩を落とし、珍しくすっかり落ち込んでる様子だった。


及「なんでそんな大事なこと……」

岩「……本当はあの場で止めるつもりだった。だが、Aに誤解されちまった。だから、及川に言おうかずっと躊躇ってたんだ」


ああ、それであの2人、今日全然話してなかったのか。

岩泉さんと若葉さん、いつも仲良かったから一緒にいないことに違和感があった。


及「もしかして、あの時喧嘩したっていうのが……？」

岩「ああ。及川に話すべきなのは分かってたが……お前、話したら梟谷に殴りかかりそうだから」


やっぱり、岩泉さんも俺と同じことを考えていた。

木兎さんも及川さんも、自分のチームのことを信じてる。

信じてるが故に、疑われたら黙ってない。

現に1日目、それで言い合いになっている。

それがただの言い訳に過ぎないとしても、俺も岩泉さんも、副主将としてチームメイトとして、主将同士が喧嘩することは避けたかったのだ。

470. 取るべき行動→←468. 覚悟を決める

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す