147. よく知ってるもの ページ5
走り出した男子が気になって、Aは屋上のドアをから外を少しだけ覗いた。
すると、男子は手すりに背を向けて寄りかかっていた。
軽い力で押せば、簡単に下に落ちてしまうというほどの至近距離だ。
「君は、ヒーロー志望なんだよね？……僕のこと、助けてよ」
そういう男子の目は、黒く濁っていた。
「僕、いつもダメなやつって言われてて、友達が出来てもずっと見下されてて……。
ずっと1人なんだ。
僕のこと、助けてよ。じゃなきゃ、僕はここから飛び降りる。もう……生きてる意味がないから」
その目は、その表情は、Aがよく知っているものだった。
孤独から目を逸らしたいのに、現実を突きつけられて、もう何もかも諦めている。
昔、自分がそうだったように。
「君なら……僕の気持ち、分かるだろ？カグツチの娘なら……周りの人から見放されたことがある君なら……」
その言葉を、Aは否定する事が出来なかった。
自分は知ってる。
愛されるべき人に愛されない気持ちも。
冷たく軽蔑された目も。
友達と親、人間が違くても苦しい思いをしたことに変わりはない。
「僕のこと、助けて。ヒーロー修行だと思って」
そこまで言われると、Aには断る理由がなくなった。
貴「……分かった」
轟から離れるつもりはない。
この人とは、友達から始めるつもりだ。
でも、そのことはこの男子には言わない。
下手なことを言って、飛び降りでもされたら困るからだ。
男子は満足そうに微笑むと、片手を差し出した。
「よろしくね、水無月Aさん」
Aは、おずおずと手を伸ばした。
貴「よろしく……えと……」
「ああ、僕の名前は、能切無太」
貴「よろしく、能切君」
これが、後であんなことになるとは、この時Aは思いもしなかったのだ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
能切無太(のうぎり むた)
普通科
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轟推し - とても感動して、目から涙がこぼれました。これからも、がんばってください！ (2020年5月9日 3時) (
レス) id: 465ea38479 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - 続きがとても気になる!!!! 更新頑張ってください! 楽しみにしてます。 (2019年8月22日 11時) (レス) id: 0dcad5eff6 (このIDを非表示/違反報告)
のまーん(プロフ) - きゃーっ！キマシタワー！破壊力パネェ！ (2019年8月19日 19時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
日向夏 - 轟くんカッコいい！いつもドキドキしながら読ませていただいてます。毎日更新ありがとうございます！これからも頑張ってください。応援しています。 (2019年8月12日 22時) (レス) id: 687d110e3e (このIDを非表示/違反報告)
漓娜(プロフ) - ああ、、、好き… (2019年8月10日 2時) (レス) id: 47b69fc756 (このIDを非表示/違反報告)
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