434. 空腹と眠気 ページ34
貴方side
音駒の分のボトルを仁花ちゃんと洗った後で、青城の方のボトルを洗っていないことに気づいた。
もう今は、皆食堂に行ってる時間。
昼間の熱気もスパイクが擦れる音もしない静かになった体育館脇の水道で、私は1人でボトルを洗っていた。
自分の学校のボトルを洗い忘れるなんて、弛んでるな、私……。
途中で赤葦さんが通って、少しだけ話した。
肝試しの時の喘息のことで、気にかけてくれていたみたいだ。
ありがたいなあ……。
ボトル洗いが一通り終わると、もう一番星はとっくに出ていた。
赤葦さんにはご飯なくなっちゃいますよとか言ったけど、私の分残ってるかな?
まあ、今は空腹より眠気の方が勝ってる気がするけど。
金「あ、若葉いた!」
声がして振り向くと、そこには息を切らした金田一がいた。
どうやら、走ってここまで来たらしい。
金田一は、私を見てからその手にあるボトルに目を移した。
金「珍しいな。お前が今頃ボトル洗ってんの」
貴「洗うの忘れてたの。大丈夫、もう終わるよ」
残りのボトルの数はあと2、3個。
いつもやってることだし、このくらいならすぐ終わる。
すると、金田一はなぜかため息を吐いた。
金「及川さん達が、若葉がいないって騒ぎ始めてさ。俺が探しに行くって言ったんだ。俺も待ってるから、早く終わらせろよ。俺1人で帰ったら怒られそうだし……」
珍しく口を尖らせる金田一は、私より背が高いのに可愛く見えてしまった。
思わず笑みを漏らすと、何故だか眠気も空腹も吹き飛んでしまった。
こうやって皆と楽しく会話出来ることって、すごく幸せなことだ。
皆が私のことを思ってくれている。
それがとても嬉しくて、とてつもない安心感に包まれたような気がした。
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すいま - さすが。おつよい。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: cbeac085fa (このIDを非表示/違反報告)
なな - 私くれはさんの小説大好きだよ!!!だからこれからも頑張って!! (2020年10月18日 21時) (レス) id: 260f58deaf (このIDを非表示/違反報告)
游 - 最近忙しくて、コメントできてなくてすみません…。もう1年たったんですね!!早かった…。今も昔も、変わらず大好きです。応援してます! (2019年7月31日 20時) (レス) id: be253de246 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーや(プロフ) - 1年おめでとうございます!!これから鈍感少女シリーズ楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2019年7月20日 20時) (レス) id: 2f26a9a0e1 (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 面白すぎて一気読みしました!荒らしにめげないその精神がすごいと思います!これからも頑張ってください! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d635d54193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれは* | 作成日時:2019年6月14日 19時