423. 消灯時間の忘れ物 ページ23
渡さんたちAチームが無事見つかったという話を聞いたのは、花巻さんとハジメにマネージャーの部屋まで送ってもらったすぐ後のことだった。
なんでも、道から外れたら捕まえて怪談話をする、という隠れルールがあったらしく、4人はその餌食になったのだ。
まあ、正確に言うと、道から外れたのは渡さんと金田一だけらしく、残りの2人はついでなんだとか。
徹たちが見つけた時には、田中さんと山本さんは失神しており、渡さんと金田一はブルブル震えていたらしい。
梟谷の演劇部、やることがエグイな……。
その後は、後輩を傷つけた云々で、後輩愛をかけた喧嘩があったとかなかったとか。
何はともあれ、大きな事故もなく、肝試しは無事終わったのだ。
私は、やっと安心して布団の上に寝転がった。
そろそろ消灯時間だ。
そうだ、薬飲まなきゃ……。
ハイハイで移動しながら、自分の鞄の方まで行くと、中を漁って薬を探す。
しかし、鞄の中を見てもハジメから貰った薬は出て来ず、ポケットも全部確かめてもどこにもなかった。
待って……待て待て待て……。
大丈夫、絶対どこかにある。
だって、一昨日ハジメから貰って、飲む時以外はずっと鞄の中に入れてたんだもん。
なくなるわけないじゃん……?
失くしたなんてハジメに言えるわけないし、ないと明日から皆に迷惑かけてしまう。
どうしよう……お願い、見つかって。
でも、鞄の中にあるものをひっくり返して見ても、結局鞄の中には薬はなかった。
ポーチとかビニール袋とか入れ物になってるものも全部見たし、服と服の間も隈無く見たのに薬は出てこない。
そうこうしてるうちに、消灯時間だ。
雀「電気消していー?」
大きな欠伸を噛み殺しながら、雀田さんが電気のスイッチの方へと歩いていく。
取り敢えず荷物を全部しまって、私も布団へと入った。
薬がないなんてここで言ったら、皆の睡眠時間を奪うことになる。
流石に、人を頼れと言われてもこれには無理があるような気がした。
1日くらい、大丈夫だよね……?
もし本当にキツかったら、ハジメに言おう。
脳内会議を終え、私は明日発作が起こらないことを祈りながら目を閉じた。
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すいま - さすが。おつよい。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: cbeac085fa (このIDを非表示/違反報告)
なな - 私くれはさんの小説大好きだよ!!!だからこれからも頑張って!! (2020年10月18日 21時) (レス) id: 260f58deaf (このIDを非表示/違反報告)
游 - 最近忙しくて、コメントできてなくてすみません…。もう1年たったんですね!!早かった…。今も昔も、変わらず大好きです。応援してます! (2019年7月31日 20時) (レス) id: be253de246 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーや(プロフ) - 1年おめでとうございます!!これから鈍感少女シリーズ楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2019年7月20日 20時) (レス) id: 2f26a9a0e1 (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 面白すぎて一気読みしました!荒らしにめげないその精神がすごいと思います!これからも頑張ってください! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d635d54193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれは* | 作成日時:2019年6月14日 19時