420. 若葉の不注意 ページ20
貴方side
止まらない咳に、集まり始める皆。
その表情は、戸惑いと困惑が混ざったようだった。
早く……早く咳を止めないと！
もう皆に迷惑かけたくないのに！
花「若葉！」
遠くから花巻さんの声が聞こえたような気がした。
こんな時に幻聴？もうやめてよ。
これ以上、体に異常が起きて欲しくないのに。
花「おい、若葉！これ……」
顔を上げると、本当に花巻さんがいた。
なんで……？
ふと花巻さんの後ろを見ると、月島君や灰羽君の姿が見えた。
Hチーム？もう追いついていたの？
そして、花巻さんの手のひらの上には、いつも使ってる吸入器があった。
なぜ花巻さんが持ってるのか？
なんてことを考えてる暇はなかった。
吸入器を使うと、ようやく咳も止まって呼吸も落ち着いてきた。
赤「若葉さん、大丈夫？」
貴「はい。すみません、ずっと支えていただいて……」
咳が出ている間、ずっと体を預けっぱなしにしていた赤葦さんに私は頭を下げた。
しかし、赤葦さんは首を横に振った。
赤「あの時、理由も聞かずに引っ張ってきちゃった俺も悪いから」
貴「あれは、赤葦さんは私を助けてくれただけで、悪いなんてそんな……」
赤葦さん、優しすぎやしないだろうか？
何も話してなかった私も悪かったし。
やっぱり、喘息のことを隠したままじゃダメなんだ。
事情を話していれば、私は喘息の発作を起こさなかった。
こういうのは事前にちゃんと対処法を考えとかないと、後で大変なことになる。
貴「皆さん……ごめんなさい」
花「若葉が謝ることねえよ。なっちまうもんはしょうがねえだろ？」
花巻さんが庇ってくれるけど、今回は完全に私の不注意だ。
貴「私……皆に喘息のこと話さなかった。ただ迷惑かけたくないの一心で、また1人で背負おうとして。だから、こうなった時の対処が遅れて……皆を驚かせた。困らせた。だから……ごめんなさい」
私は、その場でゆっくりと頭を下げた。
赤「まあ驚きはしたけど……そういうことは人には言いづらいと思うし、いいんじゃないですかね？」
菅「そうだな」
猿「でも、今度からはもう皆知ってるわけだし、何か困ったら頼ってね」
山「俺も同い年だし、先輩に言いづらかったら俺でもいいよ」
皆が次々に言ってくれた。
良かった……皆、優しい人で。
行く前の不安はもう消えていた。
貴「ありがとうございます！！」
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すいま - さすが。おつよい。 (2020年11月26日 3時) (
レス) id: cbeac085fa (このIDを非表示/違反報告)
なな - 私くれはさんの小説大好きだよ！！！だからこれからも頑張って！！ (2020年10月18日 21時) (レス) id: 260f58deaf (このIDを非表示/違反報告)
游 - 最近忙しくて、コメントできてなくてすみません…。もう１年たったんですね！！早かった…。今も昔も、変わらず大好きです。応援してます！ (2019年7月31日 20時) (レス) id: be253de246 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーや(プロフ) - 1年おめでとうございます!!これから鈍感少女シリーズ楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2019年7月20日 20時) (レス) id: 2f26a9a0e1 (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 面白すぎて一気読みしました！荒らしにめげないその精神がすごいと思います！これからも頑張ってください！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: d635d54193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれは*
| 作成日時：2019年6月14日 19時
