【HQ】鈍感少女 vs 仮病少女

412. 逃げ道ゼロ ページ12

尾長side


さっきまで喧嘩をしていた3年4人について行ってる俺たちだけど、さっきから気になる人が1人。


縁「矢巾……何してんの？」


矢巾さんは、眉を寄せる国見の腕を引っ張って歩いていた。

……何してるんだろう？


矢「1人で行こうとしてたから、捕まえとこうと思って」

国「だからさっきから言ってるじゃないですか。松川さんたち待たせてるんですよ。先行かせてください」

矢「いつどこで襲われるか分かんない中で待つわけないだろ。お前意外とそういう時先に行かせるじゃん」


矢巾さんの言ったことは図星だったようで、国見は小さく舌打ちをした。

さっきから思ってたけど、先輩相手に凄いな。

同い年とは思えないや。

そんなことを思っていた時だった。

ドドドドドと何かが地面に叩きつけられているような、連続的な鈍い音が聞こえてきた。


矢「なんだ……？」

岩「矢巾、後ろ！」


岩泉さんの緊迫した声が聞こえ、呼ばれていない俺たちも一緒に振り返った。

すると、般若のような怖いお面を被った演劇部員が、物凄い速さでこちらに走ってくるのが見えた。

これ、後半の方が圧倒的に怖いやつだ！

誰も何も言わず、ただひたすら演劇部員から逃げる。

もう早く終わってくれ……！

ただただそんなことを願って走っていると、先頭を走っていた3年たちが急に止まった。

何事かと思っていると、


及「え、これヤバくない？」

黒「はァ？逃げ道ゼロかよ……」


先輩たちの頭越しに見えたのは、後ろから追ってくる演劇部員と同じお面を被った人。

一本道で挟み撃ちって、演劇部やることがエグイな。

進むことも戻ることも出来ず、そこで皆背中合わせになって立ち止まっていた。

これ、他のチームはどうやって切り抜けたんだろう？

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