「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ9)

今日:2 hit、昨日:26 hit、合計:273,689 hit

103. ずっとこのままでいいページ9

貴「轟君、ただいま！」

Aは、学校が終わるとすぐに教師のハイツアライアンスへ向かった。

あの後、Aは轟と放課後遊ぶ約束をして、轟をハイツアライアンスに預けることに成功した。

帰ってきたAの姿を見た轟は、パァーっと顔を明るくさせてこちらに駆け寄ってきた。

轟「おねーちゃん、おかえりなさい！」

ぎゅっと抱きつく轟に、Aの表情も自然と綻んだ。

自分の家には兄弟はいるにしろ、こんなふうに関わった記憶はほとんどない。

なんとなく朧気に覚えているのは、個性が出る前の時だけだった。

Aの家は、個性が全てだ。

個性によって、家の中の位も生活も変わってしまう。

大きなお屋敷のような家に住みながらも、Aは兄弟と楽しく談笑すら出来ないどころか、笑われる始末だ。

だから、本当の姉弟ではないにしろ、轟が自分の弟のように見えてしまう。

この後、轟が受けた個性を調査してくれている相澤から説明があると言われたが、今のAにはそんなことどうでも良かった。

それどころか、ずっとこのままでいいとすら思っていたのだった。

貴「さあ、約束だよ。何して遊ぶ？」

Aが尋ねると、どことなくソワソワしていた轟が、急にしゅんとしてしまった。

急に元気がなくなった轟に、Aは首を傾げた。

貴「どうかしたの？」

轟「僕……どうやって遊ぶのか知らない」

その言葉に、Aは息が詰まりそうになった。

轟から聞いた過去の話には確か、5歳からずっと父親と鍛錬をしていたといった。

思えば、まだ轟の顔に火傷痕はなく、お母さんもまだいた頃だと気づく。

いつも1人だったAも、1人で出来る遊びくらいは知っていた。

しかし、轟は遊び自体をよく知らないのだ。

今まで英才教育を避けてきたAと英才教育しか受けてこなかった轟。

正反対の過去を持つ2人が、いったいどうやって遊ぶというのだろうか？