「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ28)

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122. 姉兄間の仲ページ28

冬「それでね、焦凍を戻す方法のことなんだけどね……」

貴「あ、はい！」

Aは慌てて涙を拭った。

そうだ、本来の目的はこれである。

冬「私や夏は、小さい頃は焦凍の近くにすら行けなかったの。もちろん、家族愛がないわけじゃないよ。でも、焦凍が小さい頃から唯一一緒にいられたお母さんなら、焦凍の家族愛も強いはず」

これには、轟の過去を知ってるAも納得だった。

姉兄間で失敗作と成功作に分かれていると、嫉妬や嘲笑が混ざって、普通の姉兄のような仲にはなりにくい。

現に、Aの家がそうだ。

常に嘲笑われたAも、多少なりとも嫉妬はあった。

轟家はあまりそういうことはなさそうな雰囲気だが、昔は分からない。

それなら、轟が小さい頃から頼っていた母親に戻してもらうのが1番成功率が高いだろう。

冬「でも、お母さんは今入院しててね。Aちゃんがそこに行くには、病院側の許可がないとダメかもしれないの。多分大丈夫だとは思うんだけどね……」

難しい顔をする冬美。

確かに、精神的に病んでしまった母親を他人に会わせるのに躊躇するのも無理はない。

部外者が行くことで、調子が良くなってきている母親が悪化したら、取り返しのつかないことをしてしまう。

しかし、今のAの役目は、轟を元の姿に戻すこと。

轟の母親に会いたい気持ちもあるが、我儘は言っていられない。

貴「私は行けなくても構いません。轟君が戻ってくれるなら……」

Aは、意志を固めて冬美に大きく頷いた。