「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ26)

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120. 部屋から見えるものページ26

日本の木材をふんだんに使った廊下を進み、Aが通された部屋は畳で1面覆われている部屋だった。

轟の部屋が他の人と違って畳なのは、実家も床が畳だったからだとAはここで気づく。

「待っててね。今お茶持ってくるから」

そう言って轟の姉が出ていくと、Aは茶色く四角い卓袱台の前に置いてある座布団の上にちょこんと座った。

どうやら、ここは普段居間らしい。

近くには大きなテレビがあり、卓袱台には四角の辺となる部分にそれぞれ座布団が置いてあった。

ここが、轟が育った家……。

エンデヴァーに特訓された場所。

お母さんに慰められた場所。

姉兄と切り離されて生活していた場所。

家の中は、広いせいかガランとしていて、家族特有の賑やかな印象はない。

代々の育て方を通してきた自分の家よりも、轟の方が家族とギクシャクして来たことを、Aは部屋から感じ取った。

「おまたせ」

ちょうどいいところに、轟の姉がお盆を水平に持って戻ってきた。

自分の前へと置かれた湯気がのぼるお茶に、Aは軽く会釈する。

「夏ー！ちょっと焦凍見てて」

「おーう」

Aの膝の上にこちらもちょこんと座っていた轟は、轟の姉が呼んだ兄に抱き上げられ、別室へと移動した。

つまり、今Aは轟の姉と2人きりの状態。

あれ？これ、相澤先生のやることじゃない？

家庭訪問っぽくない？

Aはそう思ったが、敢えて口には出さなかった。

そもそも轟はここで戻れるのだから、余計なことを言う必要はない。

Aの向かいの座布団に轟の姉も腰を下ろした。

さて……いったい何を話すのだろうか？←