「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ15)

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109. ヒーローごっこページ15

緑「いいね！でも、誰が敵役やるの？」

ここにいるのは3人。

小さい轟は、絶対ヒーローをやりたいというだろう。

そうなると、敵役はAか緑谷。

ここは、自分が敵役をやった方がいいのかと緑谷が迷っていた時だった。

轟「えいっ！」

轟が、緑谷の足にパンチしたのだ。

轟「おにーさん、おねーちゃんを返せ！」

緑「僕!?」

どうやら、轟は緑谷が敵役だと思っているらしい。

緑谷は、考えた末にAに背後に来てもらうよう頼み、ベッドの上で仁王立ちした。

緑「ハッハッハーっ！この娘を返して欲しければ、僕を倒してみろ、ヒーロー！」

真面目な緑谷の後ろで、Aは笑いをこらえながらも「助けてー」と棒読みで言う。

すると、轟は一瞬怯えるような目をするが、すぐにその眉がキリッと上がった。

轟「おねーちゃんは僕が助ける！」

えい、えい、と緑谷の足にパンチしていた轟だが、その一発が誤って緑谷の急所に命中してしまった。

洸太君の時の二の舞である。

貴「み、緑谷君!?」

急所を押さえてうずくまる緑谷の横では、轟が「勝ったー！」と高らかに拳を掲げていた。

しかし、チラッと緑谷を見て、うずくまっていることに気がつくと、慌てて駆け寄った。

轟「ご、ごめんなさい！おにーさん、大丈夫？」

緑「あ、うん……大丈夫……」

まだカタカタ震えている緑谷を、轟は心配そうに見つめてオロオロしていた。

貴「大丈夫、緑谷君？傷とかない？あ、でも私今絆創膏しか持ってないんだけど、大丈夫かな？」

何も大丈夫ではない。

緑谷の痛みは、男にしか分からない痛みである。

それを天然のAにどう伝えようか緑谷が考えている時だった。

轟「おねーちゃん、救急車呼ぶ？」

貴「へ？あ、うん、これ……よ、呼んだ方がいいのかな？」

しどろもどろになりながら、携帯を取り出したA。

このままでは、ヒーローごっこ1つで大事になってしまう。

その時だった。

トントントン

誰かが緑谷の部屋のドアを叩いた。