【HQ】鈍感少女番外編7 (ページ43)

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未来のお話 9 ページ43

「まあ、わざわざ1日空けなくても食事とかさ、ちょっと会うくらいでもいいんじゃねえの？別に住んでるところだって、遠いわけじゃないんだろ？」

「うん……」

Aと岩泉は、住んでいるところは同じ東京である。

しかし、Aは仕事で岩泉の家の方まで行く機会はあまりなく、また行けたとしても日中であることが多いせいで、家に向かうことすら躊躇ってしまうのだ。

もちろん、Aも岩泉には会いたい。

それでも仕事が優先となってしまうと、どうしても行きづらくなってしまう。

「通話とかはたまにしてるんだけどね、ハジメの方が忙しいみたいで、たまに寝落ちしてるんだよね」

困ったようにへらっと笑うA。

そういうAも、別に仕事が忙しくないわけではないのだ。

やはり、2人が会うのは難しいのかと、金田一が頭を捻らせていると、ようやく国見が待つ観客席の指定席へと着いた。

「遅い」

着くなり、国見がAを睨む。

しかし、その手には唐揚げが入ったカップがあった。

自分も勝手にいなくなったことは、ちゃっかり棚に上げているのである。

「国見も唐揚げ買ってるじゃん。1個ちょうだい」

「おにぎり宮と交換なら」

「それは嫌だ」

『おにぎり宮』と書かれたビニール袋を指さされ、Aは国見から袋を守るように後ろに隠してしまった。

「早く座れよ。もう始まるぞ」

国見がそう言ったと同時に、開始のブザーが鳴り響いた。