【HQ】鈍感少女番外編7 (ページ39)

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未来のお話 5 ページ39

ほかほかのおにぎりを買い、次の新曲を楽しみにしてると言われ、Aは治と別れた。

早く戻ろうと思った次の瞬間、金田一と国見を置いてきてしまったことにようやく気づく。

慌ててAは、携帯のメッセージアプリを開いた。

金田一からは今いる場所が送られてきており、国見からは「お前今どこにいんの？」と一言送られてきている。

Aは返信しながら、金田一と国見がいる場所へと歩き出した。

すると、今度は見知った髪色の女の子が、玉こんにゃくの屋台から出ていくのが見えた。

もしかして……と、Aは向かおうとするも一瞬迷う。

プライベートであるとはいえ、お忍びもいいところだ。

もし、自分が思い描いている人と違っていたら、そしてその人が自分を知っていたら、大騒ぎになるのは目に見えていた。

ただでさえ、普段からマネージャーにもっとアーティストである自覚を持てと言われているのだ。

下手に行動出来ない。

でも、本当にAの知り合いだったら？

東京に戻ってしまえば、宮城に行ける機会もなくなる。

会うなら、今しかないのだ。

Aは意を決して、目で追っている女性に近づいていった。

肩を軽く叩けば、ビクッと大袈裟なくらいに反応する彼女。

それでようやく、Aは自分の勘が間違っていなかったと安心した。

「久しぶり、仁花ちゃん」

そう一言声をかけると、名前を呼ばれた女性はぱあっと顔を明るくさせた。

「ひ、久しぶり！Aちゃん！」