【HQ】鈍感少女番外編7 (ページ32)

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花巻バースデー 8 ページ32

そして、いよいよ最後のシュークリーム。

お店を当てるんじゃなくて、完全なロシアンルーレット。

3年生たちには、そのことまでは伝えてない。

本当にサプライズになってる。

ちなみに、ワサビを入れた張本人である私は、どのスプーンにワサビ入りのシュークリームが入っているのかは知っているけど、食べさせる係の人は知らない。

だから、私が狙って誰かに食べさせることは出来ないのだ。

ワサビは結構入れたけど、もしワサビが大丈夫な人に当たったらどうしよう……。

全然サプライズじゃなくなっちゃう。

当たった人が辛いもの得意じゃありませんように、なんて我ながら酷いことを願ってしまう。

その時だった。

「うわっ、何これ辛っ！」

飛び上がった勢いで席を立ったのは、徹だった。

それに少しだけホッとした。

徹、別に辛いのが得意なわけじゃないから。

なんなら、猫舌だし。

何が何だか分からずにキョトンとしている3年生たち。

そこに国見が拍手をしながら近づく。

「ロシアンルーレット・シュークリームのサプライズでーす」

相変わらずの無気力な声でそう言うと、ワッと拍手が起きる。

徹は戸惑いながらも、だんだん状況を察して来たらしい。

「ちょっと待って、これ及川さんが当たりってこと？」

「当たりというより外れだと思いますけど」

一瞬明るくなった声に、すぐさま国見が釘を刺す。

ワサビが当たりなわけないじゃない……。