後輩ちゃん 30 ページ24
「若葉先輩、もう少し人の悪意に気づいてくださいよ。あんな分かりやすく悪意を持ってる人なのに、けろっとしてるんですもん。おまけに、問題が起きても全然人のこと疑おうとしないじゃないですか。ちょっと考えれば、世羅さんがやったことくらいすぐに……」
突然始まった、紫那幸さんのお説教……。
まさか、後輩に怒られる日が来るなんて。
言ってる内容は、残念なことに心当たりがありすぎる。
よく、金田一や国見、矢巾さんにも言われているから。
まあ確かに、今回はなんかおかしいな、くらいには思っていた。
最初はマネージャーがどんな仕事をするのか、分かっていないから言ってるだけなんだと思っていたけど、いくら説明しても話は平行線なんだもん。
次第に確信犯なんじゃないかって思ってきて、今日無事にそれは明らかになったのだ。
薄々気づいていたからこそ、選別の話を持ちかけたんだけどね。
世羅さんがやったと紫那幸さんが暴いた時点で、既に世羅さんが入部出来ないことは決まったようなものだったから。
まだまだ続く紫那幸さんのお説教に、私は思わずクスッと笑ってしまった。
「なんで笑ってるんですか!若葉先輩、いつか痛い目見ますよ?」
「それは大丈夫だよ。紫那幸さんがまた助けてくれるからね」
「な!え、それは……まあ、先輩がいないと困るので……」
顔を赤く染めてそっぽを向く紫那幸さんは、なんだかとても可愛かった。
「紫那幸さん、これからよろしくね」
「う……はい。頑張ります!」
照れながらも、最後は頷いてくれた。
こうして、私には頼もしい後輩ちゃんが出来たのだった。
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