【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

August.3 ページ44

バレー部の体育館に着くと、私はすぐにギャラリーに上がった。

既に何人かの女子は、ギャラリーにいて練習をするバレー部をキラキラした目で見ている。

ちょうど、スパイク練習をしているようだ。

及川がトスを上げている。

普段あんなに皆に弄られているヘタレだけど、実力がかなりあるということは聞いていた。

でも、やっぱり生で見ると凄いなあ。

トスが流れるようで、スパイカーがちょうど打つ位置にピンポイントで上げているように見える。

小学生からやってたって言ってたし、やっぱり上手いんだな……。

及川のトスからチラッと目を離すと、スパイカーの列に並んでいる岩泉を見つけた。

あ、岩泉もスパイクを打つのか。

岩泉の順番が来るのを、私はいつの間にか食い入るように見ていた。

次がやっと岩泉の番になり、岩泉が及川に片手を上げて合図する。

及川のトスしたボールが、岩泉が飛んだ最高点に吸い込まれるように飛んだ。

スパン！という空気を一刀両断したかのような音とともに、岩泉の打ったボールが床に叩きつけられる。

ドン！と床が揺れる音がした。

私は、その1連の動作が、写真を何枚も連写したかのようにゆっくりに見えていた。


岩「っシャア！」


ガッツポーズをする岩泉は、体育祭のリレーで走り抜いた後と似ていた。









また、カッコイイと思ってしまった。

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