【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

April.4 ページ5

チャイムが鳴ったと同時に、私は大きなため息を吐いた。

うわー、これ、明日から大変だ。


萌「Aちゃん、珍しいね。ボーッとしてたなんて」


萌ちゃん、私の前の席だから、何があったのか知らない。


貴「……眠かった」


そう言うと、彼女はセラセラと笑った。

うん、私笑えない。


岩「あー、花咲」


机の上で、ぐでっとなっていた私は、岩泉の声に顔を上げた。


岩「すまん、俺のせいで。あと、ありがとな」


私が書いたメモ用紙をヒラヒラと見せて、ニッと笑った彼。


貴「別にいいよー。元はと言えば、私のせいで答え移せなかったわけだし」


まあ、本当なら家でやってこいって話なんだけどね。


岩「お前って……意外といいヤツなんだな」

貴「は？」


何、意外といいヤツって？


岩「いや、今度奢れとか言われるかと思ったからさ」


いや、私がどんなヤツに見えてたんだよ。


貴「私、人に奢ったことはあるけど、奢られたことないんだよねー。
別に相手に悪いからいいんだけどさ」

岩「へー、意外だな」

貴「さっきから意外を強調してない？
私、そんなヤツに見える？」

岩「いや、なんかお前ってさ、地味だけど地味じゃないから」

貴「どういう意味だコラ」


どっちだよ、地味じゃないけど地味って。

まあ、地味は分からなくはないけども。

私のいつメンは2人。

でも、2人ともいつも静かで、いつメン以外の人と話しているのは殆ど見たことがない。

大抵絵描いてるかな、2人とも美術部だしね。


岩「いつもいる2人とさ、お前ってぶっちゃけ雰囲気違くねぇか？
花咲って、結構いろんな人と話すだろ？」


あー、そういうことか。

確かに、私は結構男子とかにも話しかけたりする。人にもよるけどね。

そのこと言ってんのかな？

April.5→←April.3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す