【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

June.10 ページ31

それからというもの、私は結花を避け始めた。

前から結花としょっちゅう話していたわけでもなかったから、特にそれでお互い揉めることもなく、結花は休み時間になると智夏のところに話に行ってしまう。

私はというと、岩泉と休み時間に謎の勉強会を開いていた。

というのも、岩泉が2者面談でバレーを続けると言った時に、担任に猛反対されて喧嘩になったらしい。

帰ってきた時、もう人殴りそうな顔してたもん、岩泉……。

それで、そんなにバレー部に残りたいなら勉強もちゃんとしろってことで、担任の科目である現代文で毎回指されるハメになったのだ。

でも、担任の授業はつまんないうえに分かりづらく、岩泉は答えを導くのに精一杯。

そこで、私が教えることになったのだ。

現代文は中学の時からの得意科目だし、2年でもクラス1位になったことはあるから、教えるのは朝飯前だった。

岩泉も、飲み込みが悪いわけじゃないからね。

そんなこんなで、すぐにテスト期間に入ってしまい、私は結花どころか智夏と話す機会も減って行った。

智夏はLINEではよく話すんだけどね。

でも、好都合ではあった。勉強に専念できるから。

次は、ワースト5位から絶対に抜け出さなきゃ。

そう固く決めて、私は顔を上げた。

梅雨明けの空が、教室を明るく照らしていた。

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