【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

June.7 ページ28

卓球が終わった後、私は教室に帰るなり、口にタオルを当てて思いっきり叫んだ。

こうすれば、どんなに叫んでもタオルが声を吸収してくれるから、周りには全然聞こえない。

何回か叫ぶと、私はそのタオルを思いっきり机に叩きつけて席に座った。


岩「おうおう、大分不機嫌だな、お前」


ほぼ同じタイミングで帰ってきた岩泉に、隣の席から声をかけられる。


貴「……別に」


私はそれだけ言うと、机に腕を投げ出してそこに頭をのせて目を瞑った。


岩「お前でもそうなることがあんだな」


私が寝ようが寝まいが関係ないらしい。

コチラを向いて喋る岩泉。


岩「そういや、さっきはありがとな。お前に起こされなきゃ授業遅刻するとこだったわ」


うわ、マジか、どストレートにお礼言われた……。

今どきこんな馬鹿正直にお礼言うやついるんだ。

私が何も言わないからか、岩泉も何も言わない。

あ、もうこれで終わりか。

そう思った時だった。


岩「お前も知ってると思うけどよ、俺たち、全国に行けなかったんだ。それで、これからどうするかずっと考えてた。まあ、文化部のお前に話しても、よく分かんねぇかもしれないけど」


貴「……知ってる」


ボソッと声が出てしまった。

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