【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

June.5 ページ26

時は流れ、6月も下旬に入ったある日。

外は雨がドシャドシャと音を立てながら降っている。

シャワーみたいだなーとか思ってしまった。


もうすぐ期末テストということもあり、教室の空気はどんよりしていた。

特に隣の岩泉は、朝からずっと寝ている。

授業の時は起きてるけど、多分先生の話は聞き流してると思う。

いつも元気な岩泉がこんな感じなのは、昨日の大会のせいだろう。

花巻や松川から、及川と岩泉のバレー事情はなんとなく聞いていた。

なんでも全国で3本の指に入る大エースの1人が宮城にいて、及川と岩泉は、その人と中学の時から因縁の関係なんだとか。

決勝までは進んだらしいけど、1セットも獲れなかったみたいだから、それは悔しいだろうな。

やっぱり、春高まで残るのかな？

って、なんで私がこんなこと気にしてんのさ！

決めるのは岩泉じゃん。私関係ないじゃん。

取り敢えず、次体育だから起こしてあげよ←


貴「岩泉、次体育」

岩「……おう」


やっぱりいつもより暗いな、コイツ。


及川もさっき見たけど、いつも女子に振りまいてる笑顔が今日は引きつってたし。

試合に負けるって、やっぱり悔しいよね。

なんで分かるのかって？

私、中学の時は卓球部という名のサボり部に入ってたから。

別に私はサボる気ゼロだったから、フツーに練習してたけどね。

そんでもって、次の体育は選択授業で卓球！！

今日はリーグ戦だって言ってたから、頑張んないとな！

男子は……バレー。

これで、岩泉の調子が戻ればいいけどなー。


智「A、行くよー！」

貴「今行くー！」


私は、軽い足取りで智夏と結花を追いかけた。









この後、何が起こるかなんて考えもせずに＿＿

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