【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

June.4 ページ25

講堂裏から出て、左に曲がろうとした時だった。


貴「いった！」


角にいた誰かに思いっきりぶつかった。

相手は男子だったのか、はたまた自分に体幹がないからかは分からないけど、取り敢えず尻もちついた。

超痛い……。


「悪い、大丈夫か？」


そう言い、手を伸ばした人を見上げると、そこには岩泉がいた。

なんで、こんなところにいんの？

私は、岩泉の手に掴まって立ち上がった。


貴「それで、岩泉。なんでこんなところにいるのか、5文字以内で答えろ」

岩「いや……別に」


コイツ、ホントに5文字で答えやがった！←

怪しむようにジーッと見つめていると、岩泉は頭をかきだした。


岩「悪い、聞くつもりはなかったんだが……さっきの話聞いちまって……」


さっきの話？……ああ、下級生の女の子たちとの話ね。

ご本人様聞いてたんじゃん。アイツらも馬鹿だなw


貴「聞いて……どう思った？私とはもう話さない？」

岩「なわけねぇべや！俺が誰と話すかは、俺の勝手だろ？」


流石、岩泉。だよね、普通。


岩「まあ、お前がさっきのヤツで俺と話したくねぇなら、俺は話さねぇけど」

貴「いや、私は気にしてないけど。
普段通りでいいでしょ、これからも」

岩「お前、随分とお気楽なヤツだな。嫌がらせされるぞ」

貴「別に、私は悪くないし。
そんな嫉妬ばかりしてたら、人生損するでしょ」

岩「お前のそういうところ、すげぇいいよな。
好きだわ」


……ん？

今、岩泉の口から"好き"って……。

本人をチラッと見ると、顔が真っ赤になっていた。

え、コイツ初心かよ！そんくらいで、赤くなっちゃうの？

まさか、恋愛経験ゼロ!?


貴「岩泉、なんで真っ赤になってんの？w」

岩「うるせ、恥ずかしいから見んな！」

貴「ごめん、そう言われると見たくなる」

岩「じゃあ、見ろ？」

貴「え、見ていいの？」

岩「お前、めんどくせー！」

貴「それは今更ー！」


そんなことを言いながら、私たちは教室に戻った。

やっぱり、こうやって馬鹿やってる時が1番楽しいや！

June.5→←June.3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す