【HQ】それは席替えから始まった【岩泉一】

May.3 ページ14

「あの、何か用ですか？」


気付いたら、岩泉と話していたうちの1人、センター分けの男子が目の前にいた。

びっくりして1歩下がると、首を傾げる彼。

いや、可愛いかよ。


貴「特に用はないけど……」

「そうですか。ずっとこっちを見てたので、何かあるのかと思いました。
あ、もしかして、岩泉さんに何か用事ですか？」


え、この子本当に年下？

結構しっかりしてない？

先輩相手にこんなしっかりとした対応なんて、普通出来ないよ。


貴「ただボーッとしてただけだから。勘違いさせてごめんね」


それだけ言うと、「そうですか」とだけ返ってきた。


岩「国見、どうかしたか……って、なんだお前ら知り合いか？」


この子、国見っていうのか。


貴「あー、知り合いじゃないよ。えっと……」


なんて言えばいいんだろう。


国「落し物拾ったんです、この先輩のだったみたいで」


ねえ、今この子平気で先輩相手に嘘をついたよ。

まあ、助かったことに変わりはないけど。


岩「そうか。……あー、後輩の国見と金田一だ。で、同じクラスの花咲」


超簡潔に説明され、お互い軽く会釈する。

てか、後輩紹介されてもな……。


国「この人ですか、及川さん知らなかった先輩って」


ん？なんで知ってるの？

岩泉の方を見ると、また目を逸らされた。

何やってんの、コイツ。


岩「あー、そうだ。この間、俺が及川連れてきたけどな」


何、私が時代遅れみたいになってんの？そうだけどさ。


国「で、どうでした、及川さん？」

貴「えーと……顔はイケメン、でも中身が最悪」

国「岩泉さん、この人マネージャーにしたらダメですか？」


おーいちょっと、国見君？


岩「まあ、それなら助かるんだけどな、コイツ部活入ってるから無理なんだと。しかも、副部長だし」

貴「そこに会計も入れといて」


文芸部人数少なすぎて、役職掛け持ちしてんだよ。

ほんとに鬼畜よ、マジでブラックだから。


国「そうですか、仕事ちゃんとしてくれそうな気がしたので、つい……すみません」

貴「あー、別に大丈夫だよ、こちらこそごめんね」


まあ、誘われること自体有難いことなんだろうな。


岩「あ、俺そろそろ出番だわ」


次の競技はリレー。足の速い岩泉はアンカーだ。


金「俺と国見もです」

貴「あ、いってらっしゃーい、応援してるねー！」


やっぱ体力あるバレー部は、皆リレー出るんだなあ。

3人に手を振って、私は自分の席に戻った。

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