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岩ちゃんの夏休み 9 ページ41
豆腐の外側がカリカリになったら、菜箸で揚げ物用のトレイに移す。
こんがりきつね色になった豆腐は、香ばしい匂いがして美味しそうだった。
それを今度は、醤油とみりんを入れた出汁入りのつゆと煮る。
いい匂いが鼻をくすぐって、なんだか私もお腹が空いてきちゃった。
早くハジメと一緒に食べたいな〜。
そう思いながら、なんだかこれって新婚さんみたいだな、なんて考える。
……え？なんで新婚？
別に、ハジメとはそういう関係じゃないのに。
なんなら、ハジメは恋愛の「れ」の字も知らなそうじゃん。
私も多分、恋したことないから分かんないけど。
でも……なんか、ハジメに恋人が出来るのはちょっと嫌だな……。
ハジメはきっと、恋人が出来たらその人を大切にする。
だから、今ほど私と一緒にはいてくれなくなっちゃう。
今だって、ハジメが海外に行ってるだけでも結構寂しいのに。
これからもずっと変わらずハジメとこの距離感でいたいと思うのは、我儘かな？
そんなことをボーッと考えていると、玄関でガチャという音が聞こえた。
わっ、もしかして、もう帰ってきちゃったの？
私、のんびり作りすぎちゃってた……！
慌てて火を止めて鍋に蓋をすると、エプロンを外す。
まだバレちゃダメ……食べる時に教えるんだから。
バタバタと急いで玄関に行くと、そこには行った時と同じ笑顔のハジメが立っていた。
「おう、A！ただいま！」
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