Shine destiny 5

決断の時 ページ9

大切な話があるから直接会って話したいと
数日前に事務所の社長から連絡が来た。




おそらくはこれから先のことについてだろうけど
いつも以上に緊張感がある。






『事務所が買収されることになった。』






突然伝えられたその事実は私にとって
良いことでもあり同時に寂しいものでもあった。




会社が大きくなれば
私が活動する時のバックアップの力が大きくなる。






｢社長はどうなるんですか？｣




『この事務所への思い入れが強くてね……
もう潮時だと考えているよ。』






中学生の時から今まで
社長にはたくさんお世話になった。






｢私のことをここまで育ててくださって
本当にありがとうございました。｣






そう言って頭を下げると社長は微笑んだ。






『言語も文化も違う場所からやって来て
苦労ばかりだったろうによく頑張った……
君は私の大きな誇りだよ。』






当時韓国語が全くわからない私のために
社長は一生懸命日本語を勉強してくれた。




オーディションに挑戦したいという
急なお願いを受け入れてくれた。




活動休止した時も私の気持ちを尊重してくれた。




交際報道でボロボロになった時も
私のことを支えてくれて守り続けてくれた。




優しくて第二のお父さんのような存在の社長に
『誇り』と言ってもらえたことが嬉しかった。






『Aなら大丈夫だ……謙虚な心を忘れずに
大きな夢に向かって突き進みなさい。』






1人になっても私は歌手として活動したい。




作詞作曲に興味もあるし…演技もモデル業も……




IZ*ONEとして活動していく上で色んな人に出逢い
様々なことに興味を持つことが出来た。



それを全てこなすのは現実的に考えて
簡単なことではないとわかっている。




最初の数年が踏ん張りどころになるだろう。




未来についてずっと考えていた。




それでもなかなか決めきれなくて悩み続けた。




でも……私にもついに夢を叶えるために
大きな決断をしなければならない時が来たみたいだ。

すぐそこに→←特権

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す