Monochrome 2

深い傷口 ページ23

YN「へウォンに手を出すな。」






イェナが血だらけの手で奴を殴った。




自分が1番傷ついているはずなのに…何度も何度も。






HW「イェナ…もうやめて。」






朦朧とする意識の中…必死にそう言い続けた。




このままだとイェナは
奴が動かなくなるまで殴り続ける。




誰か……誰か…………






『イェナ！やめろっ！！』






机や椅子が倒れあれだけ大きな音がたっていたから
さすがに気づいたのだろうか教師が何名か教室に
走ってきてイェナのことを止めようとしていた。




そこまでは覚えている。




いつの間にか私は意識を失っていた。









Aside






HW「私が目を覚ました時にはもうイェナは
高校を辞めていた……"イェナだけ"ね。」




「……カッターで切りつけたのにですか？」




HW「上級国民には逆らえない……
そんな風潮は昔からあるからね。」







その後へウォンさんも高校をやめてイェナさんを
得意のコンピュータ技術で捜したらしい。






HW「どう生きていくか路頭に迷っていた時に
ウンビさんに出会ったの。」






私の時と同じように
ウンビさんは2人の目を気に入ったと言ったらしい。






「私……イェナさんに最低なことを言いました。」






イェナさんが決心を固めさせるために私を襲った時。




私は逃げることに必死で手首の傷について聞いた。




あの時は……
イェナさんが自分でつけた傷だと思い込んでいた。






『この世界から……逃げようとしたんですか？』






真実を知った今…私の言った言葉が
どれだけイェナさんの過去のトラウマを掘り起こし
傷口を深くえぐったのか容易に想像できる。




イェナさんは逃げたんじゃなくて
へウォンさんを助けたのに。






HW「大丈夫…イェナもわかってる。」




｢絶対に助けて…ちゃんと謝りたいです。」




HW「ほんと律儀な子もうすぐ解除できるから
……一緒にイェナを救い出そう。」




「…はい。」






チェウォンさんの言った通り
誰が黒幕なのかまだわからない。




もしかしたら今聞いた話も全部嘘なのかもしれない。




たとえそうだったとしても私に向けてくれた
笑顔や優しさに嘘は無かったと信じたい。






HW｢……5秒後に扉が開く。｣






集中だ……深呼吸。




イェナさん…さくらさん今助けます。




ユリ…絶対無事に帰るからね。

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