体で.. ページ21
体で...
もうその時が来るのを檻の中で待つのみ
本気なの？部長
私みたいなの
食べても美味しくないですよ
明日から仕事はどんな感じで行けばいい？
エレベーターが着いた
スッと部長が乗り込んでボタンを押して待ってる
すれ違う瞬間チラッて一瞬目が合って
ペコって頭を下げた
こんなぎこちない私たちが
今からスルの？
「部長？」
「ん？」
部長はポケットに手をつっ込んだまま
１つづつ減る数字を見上げていた
や、何って別になんにもないんだ
沈黙が気まずくてつい呼んでしまっただけ
クルって振り返って
「なに」
って言いながら横の壁に背中をもたれさせた
「あ..お好み焼き
おいしかったです」
「あぁ」
「部長って、あんまり話さないですね」
「は？」
「仕事の時はただ怒られてるだけだし」
「誰のせいよ」
「私...ですけど」
「正解ー」
急にエレベーターがフワッて揺れて
無防備だったせいでヨロッてなったのを
ガシッて腕を掴んでくれる
「あ、すみません」
部長も咄嗟に手がのびたって感じで
「お前ほんとフワフワしてるよね」
「してないですよ」
「してんだよいっつも
酔ってないだろ？」
「あ、はぃそんなには...」
「転ぶなよ」
そう言うとエレベーターを降りて
車に向かってピッと鍵を向けると
ピカッてヘッドランプが光る
そういえば
さっき雨の中で暗かったからよくわかんなかったけど、高級感半端ないな部長の車
わたしすごい服濡れてなかった？
汚すなんてとんでもないような高級レザーだった
そう思ったら
小走りに走って部長の腕を掴んでた
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作者名：さわ
| 作成日時：2016年10月4日 23時
