ずぶ濡れ ページ26
「ハァー、もういいです(笑)」
もう開き直るしかなかった
惨めだ。
お酒のせいで余計なこと口にするんじゃなかった
色々してくれたのは
別に特別だからでも何でもない
こういう人
ただそれだけなのに
浮かれて好きになって勝手に寂しくなってるなんて
笑われるよね...
「.......」
「もー、いいですってば(笑)
変なこと言ってごめんなさい
そんな顔..しないでよ」
なんか自分が考えてたことがおそろしく恥ずかしくなってきた
「ビール飲んじゃおーー
頂きまーす」
プールサイドの櫻井さんを通りすぎて用意してくれていたビールを取ろうと
櫻井さんを、通り越そうとしたら
バランスが崩れた
っあ！！
って思った時には遅い
バシャーンって思いっきり、プールに落ちてしまった
バダバタしてる私をザバって引き上げてくれるのはやっぱり櫻井さん
「何やってんの。ったく」
「櫻井さん!服！」
「あ？」
「濡れちゃった」
「ハァ。もういいよこんなん
つか、どんだけドジなの？」
びっちゃびちゃになった髪を掻きあげる
「ゴメンナサイ」
っ！！
そう言ったらそっと頬に手が伸びてきた
「......」
「責任取れないから我慢してたのに」
「....え？」
「責任取れないっつってんの
付き合ったり無理なんだって」
「そんなの...
知ってます
そこまで望んでない
無理なのわかってるから...」
「それわかってて言ってんの？」
うんって、頷いた
迷惑かけるつもりなんてないから...
「俺が好き？たった一日しか会ってない奴？」
馬鹿にした言い方
「時間なんて関係ない」
「ハァ。
バカって言ってい？」
「うん」
「ハッ
うん。じゃねぇし
知らねぇよ？」
「うん」
後悔なんてしない
「オレは王子様でも何でもねぇよ？
Aちゃんの気持にグラグラして抱いちゃおうとか思ってる
しょうもないただの男なんだけど」
「櫻井さん...」
「オレも..矛盾してるわ」
はぁって右手で目元を覆ってそのままゆっくり髪を掻きあげた
少し冷たくみおろすその顔は
何かに葛藤してる顔だった
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作者名：さわ
| 作成日時：2016年3月25日 23時
