短い恋の始まり ページ13
船がついたら荷物を積んで
乗りこんだ
いっぱい遊んで、恋人契約を交わした無人島が遠くなっていくのを眺める
隣に座ったその手が少し触れて
無意識に離そうとしたら
そっと捕まえられる
ゆっくりと指を絡めて握られるその手を他人事みたいな目で見てる
なんだか、こんな展開がふしぎで仕方ない
櫻井さんもちゃんと恋人を演じてくれてる
絡められた手にキュって力を入れたら
ギュッギュッて返してくれる
顔を見合わせてクスって笑う
恋の始まりってなんだろう
好きです
付き合ってください
なんて純粋で簡単な始め方ができるのは
そうだな...
20代前半まで？
30過ぎのオトナは気持ちの確かめ合いなんてきっとしない
なんとなく、デートが増えて
唇を重ねて体を重ねることのが先
だけど、そこはお互い
気持ちを言わないだけで好き同士なわけでしょ
だけど、私達のはまたどうなんだろう
今を楽しむだけの恋人
恋の始まり。
終わりがすぐそこにある始まり
いくら好きになっても
終わる時が決まってる
さっきまで平気で彼女いるの？
とか聞いてた
今はもう気持ちが"好き"に向かいすぎて怖くて聞けない
彼女いる
とは、はっきり聞いてない
"間に合ってる"と
"飢えてねぇ"
は聞いたけど
聞いてないからセーフだよね
セーフだよねとか最低だけど
彼女がいる
そうはっきり聞いてしまったら
やっぱり....
冗談言ってごめんなさい
って言ってしまいそう
いないはずない
わかっていながらも
それを言葉にしないでほしい
なんてずるい考え
そんなスレスレの恋。
短い恋の始まり....
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作者名：さわ
| 作成日時：2016年3月25日 23時
