3話 ページ4
抱きついて来てグリグリ、と僕の肩に頭を擦り付けるケイト。
やっぱりなぁ。
色々抱え込む癖は昔から変わってない、か。
『ケイト、本当のお前は何処にいる?』
「ッ!!!」
『また何か抱え込んだだろう?昔、言ったじゃないか。そうなったのは誰のせいでもない。自分自身を責めなくて良いんだよ。お前は優しすぎる。少しずつで良いから、本当の自分と向き合っていけばいい。そんな直ぐに向き合うなんて無理な話だ。焦らなくていい。少しずつ、ね』
僕が何一つ達成していないのに、誰かに言う日が来るとは、ね。
それこそ、世も末かな。
彼が来た事で、この世界はどう変わるのやら。
『崩壊しないと良いねぇ。僕達が守り続けたモノを壊してくれるなよ?』
ケイトでさえも、聞こえない様な声で呟く。
ふふ、お前らもそう思うだろ?
それなのに、お前らはこの声を拾うんだろうなぁ。ケイトの様な距離で聞こえない様に呟いても。
『さて、と。ほら、ケイトは離れる。今代のハーツラビュル寮寮長はリドル・ローズハートだったかな。おいで、君と話がしたい』
僕がお前、と呼ぶのは関わりが深い人だけ。
君は関わりが浅い人に対してしか呼ばない。
「は、はい」
あれ、もしかして緊張してる?
『そんなに畏まらくて良いし、緊張もしなくていい。僕らが守ったハーツラビュルを君がこれから守ってくれ。くれぐれも汚してくれるなよ?』
頭を撫でてそう言えば顔を明るくする。
『ルールに囚われすぎるなよ』
ボソッと耳元で囁けば「なんで」と言わんばかりの表情をする。
分かりやすいんだよねぇ、君は。敵には情報を分からないようにしないと。
「おい。他の奴は居ないのか」
『レオナか。何だい、また留年したのか。懲りないね、君も。誰も居ないよ。君らの"お探しの人"はね』
本当は居るけど。
会わせない。会いたくない、って言ってるんだから仕方ないだろう?
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作者名:ひらり | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2020年6月16日 0時